チラシの裏

このブログは同志社大学自主制作映画サークルF.B.I.の提供でお送りいたします。

抵抗-駄文は長く終わらない 『F.B.I.2017新歓CM(動画サイトvimeoにて!)』とは

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HARU

www.youtube.com

2017年に入って3ヶ月も経っていて、この月が終わると現れるのが新入生という存在。何かを好きでいたり、何かを表現したくてウズウズしていたりする新入生となら僕らも何か一緒にできると思うんです。その為に、F.B.I.の名前を新入生に知ってもらう必要性やブース期間中※1など新入生一人一人に話しかけたりする必要性が生まれ、他に倣えと新入生歓迎的活動を行うことにしてます。

 

グーグル帝国の侵攻が、古都で細々と映画撮っているか、お茶してるか、誰かの家のPS4にかじりつくか、麻雀※2に熱を入れるか、YouTube(あるいはsoundclowdなのかapple musicか)で何かしらの新曲を聴いているか...だけのこのサークルにも。

 

YouTube

う––– YouTubeなんですね。

F.B.I.において毎年、春に新歓向け、EVE祭同志社大学の一番大きな学祭)の前に上映会の宣伝用として、その年に製作された作品をまとめた数分のMV※3的なCMが作られてきました。誰かしら担当する人が好きな音楽に合わせてその年の作品のかっこよさげなカット※4を、これいけんじゃね、と繋いでいくわけです。※5海外にその年公開された映画を同じようにまとめた動画や誰某という監督の作品をまとめた動画など※6が数多くあり、それをこのサークルでもやってみようと行われています。

 

www.youtube.com

僕が新入生の時はこれが新歓CMでした。

 

今年もソレを、ということで、一回生の子と編集※7をネチネチとやって書き出し※8も終わりイザ!とF.B.I.のYouTubeアカウントでアップロード、漸く終わったことへの安堵感と共に動画をチェック。この時、既に再生が不可能になっていました。スクショを忘れたんですが、再生画面のところ代わりに「何処ゞのコンテンツが含まれているため...お住いの地域では再生できません」と書いてあります。

 

こうなってしまったなら、と慌てて動画の削除、F.B.I.のtwitterの自動投稿を削除、この動画の痕跡を消していきました。

 

2016以前

近2年くらい、この事態はよく発生していました。それまでのCMのBGMは洋楽が大半であったことへのささやかな抵抗としてその年の担当の人が向井秀徳を使用したことでスマホからの再生はブロック(しかし、PCからの再生は可能という謎仕様)されたのが一昨年のEVE祭のCM※9でした。

 

その次の年、つまりは去年の新歓CMで初めて僕は作品リール製作に携わりました。

 

www.youtube.com

 

これが当時は30秒までしか動画を載せることができなかったtwitterでの宣伝用に製作したCM、Pink Floydを使用しています。

 

youtu.be

 

これがメインとなる新歓CM(作品リールとこの時は呼んでいますね)、でした。Coldplayを使用しています。

 

日和ったんですね。どちらも洋楽。メインとなる新歓CMに至っては毎回再生する度に最新のColdplayのMVの宣伝が再生途中に出てきます。現在のColdplayのMV※10など誰が興味あるというのでしょう。しかし、僕はYouTubeで公開出来ただけで良しとしていました。グーグル帝国万歳。

 

抵抗

年のEVE祭を迎えるにあたって、宣伝用CMが製作されるということで、忙しい中一昨年のEVE祭CMの担当者がもう一度製作することになりました。一昨年の経緯の中、選ばれた音楽はBuffalo Daughter、SOIL&"PIMP"SESSIONS、ゆらゆら帝国と邦楽のみ。

 

YouTubeスマホからの再生をブロックされるという危険性も踏まえた上で昨年同様に洋楽を不使用という路線でした。これにはYouTubeも怒り心頭、日本国内からはどのデバイスからも再生不可能と一昨年を超える措置、つまりは今年と同じ事態となり、代わりに随分前に開設されていたVimeoにあげて、公開する運びとなりました。※11

 

抵抗の美学を貫いた先輩も引退し、今回の新歓CMです。僕は洋楽なら良いんでしょ、と2016年的な一曲であるThe Avalanchesの『Because I'm Me』※12を選びました。

 

しかし、先に書いたようにブロックされたわけで意味わからん、となりながらVimeoにアップロードしました。

 

vimeo.com

 

これが今年度の新歓CMです。

 

これがブロックされたのは予想外な事態。洋楽を使った時点で危機は回避しているものとしていたのです。これは怒るしかありません。再生画面に表示されていた文面の「この地域では」に引っかかります。日本だけでよくわからん権利会社なり著作権管理会社がブロックしてるのでは、という疑いを覚えます。どうこうしてると、twitterでこんなのを見つけるんですね。

 

togetter.com

 

簡単に言うと、くるりの海外向けに作った英語訳入りのMVが海外から見られなくて、岸田さんがレーベルが努力怠ってるのでは、と怒る。すると実は、日本と海外の法体系の違い、YouTubeの進める音楽シェアリングの事情などが絡まって、日本のMVはほぼ全て海外から見ることが不可能であることが語られます。ヤッパリ!日本の特異性とグーグル帝国の勝手のしわ寄せなんだろう、と怒りを進めます。

 

直ぐに明らかになるのは、これは見当違いも甚だしい話で、「avalanches because im me」などとYouTubeで検索するとそもそも公式MV以外の動画で音源は上がっていません。つまり国内外問わず音源の使用はブロックされていました。そもそも、くるりくるりのMVをあげるというのと、大学生が著作権の目をかいくぐって勝手な二次創作を作るというのでは正当性があまりにも違います。

 

ただ、単にしょうがなしでは気が済まず、作ったのが冒頭の『F.B.I.2017新歓CM(動画サイトvimeoにて!)』。『Because I'm Me』のサンプリング元の一つでThe Honey Coneの『Want Ads』という曲にCMの冒頭部分のセリフも含めて音の差し替えを行ったものです。この曲はよくわかんないアカウントから音源がアップされていました。グーグル帝国もサンプリング元までは見つけれないことを嗤う行為になっていれば、というささやかな抵抗を勝手に感じていたわけです。

 

Amethyst

局、誘導動画はYouTubeに今年も新歓CMが存在する痕跡を残した以外には、実に商業主義的な宣伝以上の意味を持たないんですね。そして、PCから見るとメモがポップアップで出て誘導のリンクが出るようになってはいるんですが、スマホから見ると何も他に情報がないまま「Now on vimeo」が迫ってくるだけの謎動画と化しています(説明欄にはリンクがあります)。

 

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というわけで、今回YouTubeにブロックされてから色々考えて思い返したこの文章は帰結として、無に至ったわけです。無駄だったんですかね。

 

一方、この記事で紹介してきた、この3年間の新歓CMは存在し続けます。良かったら見ていただきたい...で、新入生の方、よかったら新歓時期などに何処かしらでF.B.I.を訪ねて下さいな。

 

新歓CMを紹介する記事、書こうと思ったのに阿呆ほど長くなってしまいました。

 

センダ

 

脚注

※1 4月2~6日。今出川校地とかだと校門から入って突き当たり、途中で脇に入る通路に至るまで各サークルの説明ブースが所狭しと並び、新入生はそこを縫って彷徨うことになる。今回F.B.I.どうすっかな。

※2 ある一回生曰く「神の考えたゲーム」

※3 ミュージックビデオ。MTVが流行ったことでMVの価値は高まっていった。色々とこのMTVには問題があったわけで、デヴィッドボウイのMTVに対する発言や映画『リアリティバイツ』(1994)とかあたりでも取り上げられている。

※4 複数の映像がつなぎ合わされて完成する映画には単位があって、編集のつなぎ目から次のつなぎ目までの映像をカットと表す。これに対し『バードマン』(2014)や『ロープ』(1984)とかは全編が1カットの映画とか呼ばれたりするが、実際にはわからないように編集がなされているので、正しい表現なのかは微妙。

※5 実際のところ、所詮学生がとった映像を音に合わせただけでカッコ良さが担保されるはずもなく、毎回編集の技術なり工夫なりでゴマかしたり、上手いこといったりと試行錯誤の繰り返し。例えば、2013年にそれまでのF.B.I.の残ってる映画をまとめました、という先輩の作った動画。

vimeo.com

※6 ほんとに色々この手の動画はある。映画の分析動画とかになってたりするのもある。

これは2012年に公開された映画をまとめたもの

www.youtube.com

これはデヴィッドフィンチャーという映画監督の作品をまとめたもの。

www.youtube.com

※7 F.B.I.では大半がadobeのpremiereを使って編集する。

※8 編集ソフト(上の場合だとpremiere)で編集が終わった後、それをPCで再生するような動画ファイルにするためには書き出しという作業を経る必要がある。以外とこれが時間を要する、且つ失敗することも多々あるので、用心用心。

※9 

PC向け

www.youtube.com

PC、スマホ向け

www.dropbox.com

※10 僕は興味がある。

※11 

vimeo.com

※12 単純にいい曲だと思ったからというのが実際。アヴァランチーズが何百曲とサンプリングするために一個一個許可取りをしていった凄味の一方、こんな勝手な動画を作っている身分がどうこう言っているのは虚しく響くだけ。